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    Monthly Column

    コンカリーニョに縁のある人々による月替わりコラム


    「待ち時間のこと」

     実家のそばに小さな商店があって、その向かいに電話ボックスがあったんですけど。まだあるかどうか分からないけど。テレホンカードすら持ってなかったから、高校生の頃。小銭にぎりしめて。あらかじめ話す内容を整理するんですけど、何しろ数分の勝負だし。たった数分の内容を1時間くらい電話ボックスの中にこもって妄想したり。彼女は寮に住んでたから、また面倒で。取り次いでもらっている間に、30円くらいかかったり。残り60円じゃんって。でも、どうしても声が聞きたかったりするわけです、高校生の頃。で、また明日ねって言おうとして、ツーツーツーとなるわけです。

     朝は、バスを2駅前に降りて、その子と登校するんですけど。ほんの15分くらいなんですね学校まで。デートですよ、朝のデート。2年生までは遅刻ばかりだったんだけど、まったくしなくなりました。連絡取れないんですね、遅刻しようものなら。携帯とか持ってないから、PHSもポケベルだってなかったもの。昨日の電話の約束だけが頼りで。年に何度か、その子が居ない日があって。そういう時はどうしようもないので、学校までの2駅をひとりで歩くんですけど。もう、色々考えるわけです、何があったんだろうって妄想する。女の子の友だちにそれとなく聞いてみたら、同じ寮に住んでる子から風邪ひいたみたいだよって情報を聞き出してくれたりして。やっと安心するのが昼休みだったり。

     授業中は、ほとんど手紙を書いてました、毎日。朝、どちらかが手紙を書いてきて、それを手渡しする。昼休みに返事を書く。放課後にその返事が来る。その繰り返し。嬉しいことが書いてあると、その日は授業に身が入らなくて、悲しいことが書いてあると、授業どころじゃなくなるわけです。授業もあるし、部活もあるし、なにより家に帰らなくちゃならないから、一緒に過ごす時間が限られている。手紙は、その子と僕をつなぐ手段でした。でも、言葉なんてうまく書けないから、まあね、今、作家とかやってますけど。手紙を書くために、朝も昼も妄想して、伝わらなくて喧嘩して。でも、書き続けた。

     手紙を書くということは、返事を待つということで。人と人をつなぐには、その待ち時間が必要なのではないかしら。メールの待ち時間は、僕にはちょっと早すぎて。でも、やっぱりすぐに答えは欲しくって。高校生の時と変わることなく、待ち時間で妄想しながら、新しい作品を書くことができたらよいのだけれど。

    清水 友陽

    清水 友陽 Shimizu Tomoaki 脚本・演出家。紋別生まれ、小樽育ち。1997年、清水企画結成。2006年、活動が道外へと波紋を広げてゆくよう、WATER33-39に。2007年、コンカリーニョと共同プロデュースで韓国のチョヨン劇場を招聘。2008年、東京国際芸術祭リージョナルシアター・シリーズ参加。10月「ためいきをつくかいのはなし」コンカリーニョで凱旋公演決定。

    コンカリーニョ・高橋正和のつれづれコラム


    「家」の続き・・・

     高橋はとても気分屋!?? と、先日チェコ在住の人形劇師の沢則行さんに指摘されその横にいたHさんには「今日の高橋はA型かB型か」などと言われ、どうも自分はご機嫌・不機嫌の差が大変激しいようであるということを認めざるをえないかと思った昨日でありました。本人そんな気はさらさら無かったのですが、わからないものであります。

     さて、家に蝦夷リスがやってきます。家の壁に張り付いていたりします。今日は足元10cmのところまで寄ってきました。実にご機嫌な一日の始まりです。この原稿を書いている今の時間は夜の9時半。今日一日で電話50本くらいしたかなぁ・・しまいに何がなんだかわからなくなるのですよ・・それでもどうやら不機嫌モードには突入していない自分が不思議。リスのおかげかなぁ。友達になろう。名前をつけてしまえ。「花」にしよう、決めたもんね。リスの「花」ちゃん。

     あの家に住んでいると、自分の精神状態が明らかに変化しているという自覚があるのです。驚きです。リスだけのせいではありません。それを育んでいる、許している土地に自分が存在できることがとてもうれしいのです。今後、仕事や人間関係、自身の健康など、どんな影響を及ぼしていくのか見ものです(他人事のような言い方ではありますが・・・)。,/p>

     朝、眼を開けると青空が飛び込んでくるのですよ。見ていても見えていなかった色達。空の青をちゃんと見たのは久しぶりだったのか・・・

    葉の緑・花の白や黄色、空気のにおい・鳥の声・・・やわらかく、しなやかに・・・そういう仕事がしたいなぁ。できるかも・・・という気にさせられます。

     明日は花ちゃんに会えるかしらん・・・。

    たかはし・まさかず

    1961年生まれ。インドにて瞑想中、「光ある仕事に就きなさい!」という観音菩薩からの啓示をうけ舞台照明家を志す。自然と人智の結晶、石造りの旧コンカリーニョの設立・運営に携わり大いなる大地・そのGreat Energyの恩恵の元、魂の平和を求め人生という名の「旅」を続け現在に至る。NPO法人コンカリーニョ理事・舞台照明家・愛称まこし。

    劇場通信|Vol.18

    2008 年 6 月 1 日発行

    発行:NPO法人コンカリーニョ デザイン:3KG 編集担当:小室明子

    Special Thanks:

    A Picture

    一枚の絵

    多田 昌代 TADA MASAYO

    札幌市在住。陶芸家。1992年、下沢トシヤ氏に師事。下沢氏との2人展の他、近年は個展や北海道陶芸展にて作品を発表。日常使ううつわの他、花器やオブジェなど、やわらかな曲線のフォルムが作品の特徴。造形作品には想いや願いをこめて、ひたすら土をつむ。製作中、何かが自分の中に降りてきてエネルギーを与えてくれる感覚に魅せられている。2007年第36回北海道陶芸展協会大賞(北海道知事賞)受賞。