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    Monthly Column

    コンカリーニョに縁のある人々による月替わりコラム


    「 そこに行けば会える素晴らしくズレてる人々 」

     旧コンカリのあの雰囲気のあるレンガ倉庫を初めて訪れたのは、「踊りに行くぜ!!」(全国巡回プロジェクト)の第1回目2000年の秋。今から7年前、代表の佐東とジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)というダンスのNPOを立ち上げようと、準備室を開設して3年目にあたる年であった。それ以来、毎年札幌で「踊りに」を開催し、今年で8回目となる。今では盆と正月に帰省するような気分で、コンカリの人々と再会するのが恒例となってしまった。

     「踊りに」Vol.7の昨年は21箇所まで開催地が広がったが、第1回目はまだダンスの環境が今ほど活発でもなく、JCDNのネットワーク作りもこれからだったので、巡回地は首都圏を中心とした3箇所程度だった。これでは<全国巡回プロジェクト>と銘打つには、ちょっとおこがましい。が、これに北の大地が加わると、ぐっと全国に広がった感が出る。「踊りに」にとって札幌は、とても重要な開催地であったのだ。このように無理矢理、ご縁を作ったような気もしなくはなかったが、この後、"コンカリーニョ"の超人離れした底力を知ることになろうとは、この頃はまだ知る由もなかった。

     <完全退出10時>という全国公共ホールの慣例など何処吹く風。コンカリ・スタッフの面々は、アーティストの果てることのない要望に執拗に応え、これでもか、と色々なアイデアを提示してくる。そんな姿に益々、出演者も熱くなる。こちらにもそれが伝染し、全てFIXした地元作品を貫徹覚悟の一晩で創り変えてほしい、と鬼のようなリクエストを出したこともあるが、顔を引きつらせながらも、断わられたことなど一度もない。そして、畳敷きの楽屋では代表・斎藤ちずさんの母上手作り弁当が、いつも私たちの身体と心を満たしてくれた。コンカリを支えるスタッフたちは、およそ世の常識などというものとはかけ離れた次元の時と空間に棲み、日夜黙々とモノ創りと向き合っているツワモノだ。昨今、ハイテク装備の劇場は数多く建設されているが、"劇場"という新しい価値を生み出す場としてなくてはならないもの.此処から何かを生み出していくぞ!という生気と邪気がゴーゴーと渦巻いているような、そんな劇場は悲しいかなそう多くはないと感じる。そうなのだ!コンカリは、まさに世に逆らって"素晴らしくズレてる人々"が創りあげた場所。だからこそ、誰が信じていただろう<新生コンカリ誕生!>を見事にやってのけたのだ。真冬でも靴下をはかない照明の高橋さんしかり、コンカリ再建祝イベントで誰よりもドデカイ声を張りあげ全身でシャウトするちずさんしかり。そんな稀人の魂のDNAが新生コンカリにシカと受け継がれていくのだろう。

     何時の頃だったろう舞台が跳ねた後、旧コンカリの倉庫でオホーツク海のエキスがつまった小粒の牡蠣を炭火焼きで食べながら、新生コンカリの夢を語ったのは。今その夢が実現し、再び別のハードルが目の前に聳え立っている。その低くはないハードルを軽々と、時にはのろのろと、コンカリの人々は超えていくに違いない。いや、超えていってほしいと願う。

     コンカリという生き方、そこに行けば彼らに会える、ということが私のかけがえのない支えとなっている。

    水野立子

    NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク アーティスティック・ディレクター

    コンカリーニョ・高橋正和のつれづれコラム


    「 常識 」

     きっと私の常識はあなたの非常識?

     歳を取ったか人生に疲れたか、今の自分を見るために振り返る過去がある。

     三年半の照明会社勤めをやめたのはヒマラヤを見たかったから。
    旅、帰国しては働いてまたインド・ネパールへ、4カ月から半年間ふらついてまた帰国・労働する生活を4年くらい続けた。皆が言うような衝撃的なカルチャーショックなどは受けなかったけれど、日本で培った常識の殻がゆっくりと剥がれていくのが心地よかった。宗教・民族・文化、触れたことない価値観やスピリチュアルな出来事、神と自然と人間が渾然一体となり同居している世界に溺れ、とても小さな自分を感じると同時に母なる地球は自分自身と共にある、強い確信を持つことができた。

     で、具体的に何が変わったかというと…。

     自分が想定していない事象や思考を認めることができるようになったのが一番かな。一般常識というのはひとつではない。国家の数だけの、人口の数の分だけ、人間の常識がある。この発見は地球を形作っている全ての要素に全く同じものはないという真実と繋がる出来事でした。

     人はどんなに客観的に物事を捉えようとしても捉える主体が自身であるならば尺度も自身のもの、主観にしかすぎません。客観的であるべき常識を考える自身も同様であり、言い換えれば万人が持っている一般常識が完全に同じなどということはありえない。全てにおいて価値観は違うという真実の発見は、舞台を作る・創造することを生業にして生活をしている自分にとって、どれだけ重要であったことか。自分の守備範囲だけで作る舞台なんて面白くもなんともない。社会生活も同様で意外なこと=自分にとっての非常識がそこかしこにあるからおもしろい。当たり前のことに気づいたにしかすぎないのですがそのことをちゃんと認識している人ってそんなに多くはないような気がします。正しい・正しくないという判断基準ではなくて「違い」を見ることをもっと大切にする世の中ができてくると平和な世の中が近づいてくる。

     生命だけは大切にね。これが今の私の常識。

    たかはし・まさかず

    1961年生まれ。インドにて瞑想中、「光ある仕事に就きなさい!」という観音菩薩からの啓示をうけ舞台照明家を志す。自然と人智の結晶、石造りの旧コンカリーニョの設立・運営に携わり大いなる大地・そのGreat Energyの恩恵の元、魂の平和を求め人生という名の「旅」を続け現在に至る。NPO法人コンカリーニョ理事・舞台照明家・愛称まこし。

    劇場通信|Vol.5

    2007 年 5 月 1 日発行

    発行:NPO法人コンカリーニョ デザイン:3KG 編集担当:小室明子

    Special Thanks:JCDN

    A Picture

    一枚の絵

    新矢千里|Shinya Chisato

    札幌在住。1989 年フリーのイラストレーター 「 Kinpro 」 として活動を開始。自身のライフテーマである“自然” から創造したモチーフを作品に取り入れたスタイルで絵本などの出版をはじめインテリアなど幅広い分野で提唱している。2005年コペンハーゲンのホテル「 FOX 」 の部屋をリ・デザインするプロジェクトに参加。
    HOTEL FOX  www.hotelfox.dk/home.html

    http://www.kin-pro.com/