Concarino

生活支援型文化施設コンカリーニョ

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    Monthly Column

    コンカリーニョに縁のある人々による月替わりコラム


    「 クィーン・オブ・コンカリーニョ ちずさんへ 」羊屋白玉

    たしか1995年の冬、再建前のコンカリーニョで、斎藤ちずさん(註:コンカリーニョ理事長、演出家)とはじめて会った。その当時、コンカリーニョは、迷宮のように蠱惑的で不思議な空間に思えた。ちずさんは、おさげ髪で花柄の鼻緒のついた雪駄を履いていて、積み上げられた平台にちょこんと座っていた。組んだ片足が床にとどかずぶらぶらしている様子に、わたしはひそかに笑いをこらえていた。

    それから何年かして、コンカリーニョがなくなった。と人づてに聞いた。ちずさんともあれっきり会っていなかった。
    2.3年前に、東京でも札幌でもないところで突然に再会した。ちずさんは純白のパンツスーツ姿で、書類なんか小脇に抱えて、以前の座敷童のような印象は吹っ飛んだ。

    久しぶりの再会、ちずさんは、新生コンカリーニョがうまれるのよと嬉々としていて、わたしも嬉しかった。そして、ひょっと息を吸い込むかとおもうと「それでさ〜。しろたまちゃん。お祝いしてくれない?」と、わたしをじぃ〜っと見た。
    まるで、背の低いお姉ちゃんから「たまにはいっしょにあそんであげる」と見上げられている妹のような気分だった。
    それからは、およそ半年で、どのようにコンカリーニョ生誕祭に関わるか(どんなお祝いをするか)という作戦が練られた。ご存じの方も多いと思うが、昨年 2006年の初夏、指輪ホテルの「Please Send Junk Food」という作品を発表することを決め、オーディションとワークショップとレジデンスを経て、札幌チームを結成し、8月真夏に上演した。

    コンカーリニョ生誕祭に、札幌女優達の弾けんばかりの笑顔と無邪気なエロス、そんなひまわりの花束のようなお祝いを贈りたい一心であった。
    公演は盛況を迎え、やがて幕を閉じ、札幌の短い夏も終わりに近づいていた。
    長らく札幌に滞在していたわたしは、再び、コンカリーニョに赴き、なにかの公演の仕込み中だっただろうか、一瞬、ライトが閃光のように瞬いた。その時わたしは、かつて初めて訪れた時の鮮明な記憶、コンカリーニョの迷宮性がなんだったのか気づいた。あの時わたしは、迷宮の奥が見えなかった。それは、暗闇のせいでみえなかったのではなく、巨きな光によって見えなかったのかもしれない。迷宮の戸口は劇場だったが、その奥には、ギリシャ時代のポリスやローマ時代の劇場がひたすら人が集まる“場”であったような、例えば当時で言うところの大浴場、剣闘士の闘技場、裁判所、マーケットと変遷してゆく新しい“場”が待っているのではないか。そんな、コンカリーニョという“場”の迷宮にまた迷い込んだような気がした。

    羊屋白玉(ひつじや しろたま)

    演出家・劇作家、日本劇作家協会会員・日本演出者協会理事

    大阪公演 CANDIES girlish hardcore 2007年3月1日(木)-3日(土) 精華小劇場
    ※日本初演となる最新作「CANDIES」を上演。
    東京公演 YIN&YANG  2007年3月28日(水)-31日 (土)森下スタジオ
    ※コンカリーニョでも上演した「Please Send Junk Food」と「CANDIES」のカップリング公演。

    コンカリーニョ・高橋正和のつれづれコラム


    「飯と自然と文化・芸術」

    「自然保護で飯が食えるか!」とおやじさんは言う。 「絵描きのところに嫁に行くなんて、なんて親不孝な娘でしょう」とおばさんは言う。「役者は貧乏」……という社会通念(なんだかってひどいテレビ番組もあったなぁ)がある。どれも正しかったりそうじゃなかったり。

    見方を変えてみる。今の地球、自然保護を一切しなかったならどうなるだろう。開発? 発展? 戦争?今、この瞬間も人の犠牲となっている生命は数知れず、バランスを崩していくスピードは修復するそれよりも速い。ツケはやってくる。元々地球上に存在する「要素」の一つ一つの中に無駄なものは何一つなく、細胞のように密接に絡まりあっている。修復不可能なほどに壊れてしまう前に何とかしなくちゃならんのです。自然保護は地球保護。今、やらないと飯は食えなくなってしまいます。

    文化とか芸術とか、こうやって書いていても何か後ろめたいようなコチョバシイような響きを持つこの言葉。人間社会にあってもいいけどなくても困らないものなのか? なくてはならないものなのか? っていうかぁ、何それ? って感じ。

    役所的には景気が悪くなると真っ先に切り捨てられるこの予算。なくても社会には何も影響を及ぼさないように感じるこの分野。絶滅危惧種? 蛙のようだね。

    そう、芸術は蛙みたいだ。絶滅しても困らない? だけどいやだな。人間社会の健康度を計る自然界の蛙みたいに芸術はある? 愛嬌のある蛙・不細工な蛙・怖い蛙……世の中には蛙が溢れている。その方が楽しいにきまっている。

    人間に「知恵」が備わったときから言葉はなくても芸術.創作すること.はあったに違いない。以来、人間にとって無くしてはならない、無くすことはできない「要素」として文化・芸術はあるのだな。蛙だよ蛙……。

    たかはし・まさかず

    1961年生まれ。インドにて瞑想中、「光ある仕事に就きなさい!」という観音菩薩からの啓示をうけ舞台照明家を志す。自然と人智の結晶、石造りの旧コンカリーニョの設立・運営に携わり大いなる大地・そのGreat Energyの恩恵の元、魂の平和を求め人生という名の「旅」を続け現在に至る。NPO法人コンカリーニョ理事・舞台照明家・愛称まこし。

    劇場通信|Vol.3

    2007 年 3 月 1 日発行

    発行:NPO法人コンカリーニョ デザイン:3KG 編集担当:小室明子

    Special Thanks:指輪ホテル

    A Picture

    一枚の絵

    山本 恵|Yamamoto Megumi

    札幌市在住。演劇などの芸術系プログラムの宣伝物を中心に、イラストレーターとして活動。最近では様々なジャンルとのコラボレーションも模索中。制作には主に水性ボールペンを使用し、Illustrator等で処理する事もある。最近の活動は、「札幌室内歌劇場」フライヤー用イラスト作成等。

    http://pht.so-net.ne.jp/photo/yama_megu_photo